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膝関節・軟骨修復治療

スポーツ医学科の『つらい膝の痛み』の治療法のご紹介

関節軟骨損傷とは

関節軟骨は滑らかな関節運動(潤滑性)や荷重時の衝撃吸収などの役割を担っています。これは、80%の水分とII型コラーゲンとプロテオグリカンを含む豊富な細胞外基質によるもので硝子軟骨と呼ばれています。
関節軟骨は構造的に4層構造を持っています(図1)。層状構造であるため、圧迫力には耐久力がありますが、擦るような動き(剪断力)には弱いのが特徴です。軟骨損傷は若年者のみの疾患ではありません。強い剪断力が加われば、子供から中高年の方まで起こり得るものなのです。さらに、関節軟骨は神経も栄養血管もリンパ管なく、細胞成分に乏しいため、自然治癒が難しいと考えられています。

  • 図1. 関節軟骨の4層構造

膝関節軟骨損傷の症状は

関節軟骨損傷は、歩行時や曲げ伸ばしの際の痛みや強い引っかかりを自覚します。関節内の炎症が持続すると関節内にお水が溜まります。自覚症状は日常生活に支障を来すレベルからスポーツ後の腫れや痛み程度まで差があります。

関節軟骨損傷を放置すると

一度傷ついた軟骨は放置すると、剥がれ落ちた関節軟骨周囲の正常軟骨まで徐々に剥がれていきます。そのため、痛みやひっかかりを我慢して生活していると、広範囲の軟骨損傷となります。最終的には変形性膝関節症となります。

関節軟骨損傷は治せるのか

関節軟骨自体の軟骨細胞による再生能力は乏しく、初期の病変においてのみわずかに軟骨修復も期待できます。そのため、初期の軟骨変性に対してはヒアルロン酸やplatelet-rich plasma (PRP)などの関節内注射も試みられます。(当院においては関節内PRP注射も可能となっています。)しかし、高度に変性した軟骨や、軟骨が欠損した症例においては保存療法では軟骨再生は望めません。
関節軟骨が修復不可能な状態まで広範囲に損傷し、高度な骨変形が生じた場合には一般的には人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty; TKA)が行われています(図2)。
しかし、亀田総合病院スポーツ医学科では、関節軟骨修復術を行うことで可能な限り膝関節を温存する手術を行っています。

  • 図2. TKAが施行された変形性膝関節症の症例

当院で行う軟骨修復術

関節軟骨を修復する方法には、骨髄刺激法(bone marrow stimulation; BMS)、骨軟骨柱移植術(osteochondral autograft transfer system; OATS)、自家培養軟骨移植術(autologous chondrocyte implantation; ACI)などがあります。

骨髄刺激法 (BMS) (図3)は、軟骨欠損部位に細い鋼線(ドリリング法)やピック(マイクロフラクチャー法)を用いて骨髄まで至る小さな穴をあけ、骨髄から出血を促します。これにより軟骨欠損部には、正常な関節軟骨である硝子軟骨ではありませんが、線維軟骨と呼ばれる組織で修復されます。

  • 図3. 骨髄刺激法.
    (a) 軟骨欠損部。(b) マイクロフラクチャー法にて骨穿孔。(c) 術後1年で軟骨欠損部は線維軟骨組織で修復されている。

骨軟骨柱移植 (OATS) (図4)は、膝関節内の非荷重部(採取しても大きな問題が生じない場所)から採取した骨軟骨柱を荷重部の軟骨欠損部に移植する方法です。これは正常な関節軟骨を移動させる術式であり、硝子軟骨で修復可能な大変有用な方法です。しかし、非荷重部から採取できる骨軟骨柱には限りがあること、複数の移植部位の間は線維軟骨で修復すること、非荷重部とは言え、採取部は膝蓋骨が滑走する部位に近いことでしゃがみ動作などでの違和感や轢音が生じる可能性があることなどが欠点として挙げられます。

  • 図4. 骨軟骨柱移植.
    (a) 離断性骨軟骨炎による骨軟骨欠損を認める。(b) 非荷重部より採取された複数本の骨軟骨柱が移植されている。(c) 術後1年で骨軟骨欠損部は修復されている。

自家培養軟骨移植術 (ACI) (図5)は、再生医療の1つであり、今後最も注目される分野であります。本邦では唯一J-TEC社のJ-TEC Autologous Cultured Cartilage(JACC)が外傷性軟骨損傷および離断性骨軟骨炎などによる4cm2を超える広範囲な軟骨欠損に保険適応が認められております。関節軟骨の一部(約0.4g)を採取し、4週間かけて培養した3次元培養シートを欠損部に移植します。当院では従来のBMSおよびOATSに加え、適応症例には積極的にACIを行っております。当院は、現在のところ関東では症例数トップとなっています。

  • 図5. 自家培養軟骨移植.
    (a) 関節鏡で広範囲な軟骨欠損を認める。(b) 軟骨欠損部位の新鮮化を行った状態。

  • (c) 三次元培養軟骨シートを移植した状態。(d) 移植部に骨膜を被覆した状態。(e) 術後1年での再鏡視所見によって軟骨欠損部は修復されている。

当院で行う追加処置

損傷した軟骨を修復すると同時に軟骨損傷を来す要因を解決する必要があります。その要因には靭帯損傷などの関節不安定性や半月板損傷、そして下肢アライメント異常が挙げられます。

膝関節内の主要な靭帯が断裂している場合には、再建術を行います。とくに前十字靭帯断裂に対しては解剖学的2重束再建術もしくは解剖学的長方形骨孔再建術を行っています。(図6)

  • 図6. 軟骨欠損を伴う前十字靭帯不全症例.
    (a) 前十字靭帯の消失を認める。(b) 大腿骨滑車部に軟骨欠損を認める。(c) 大腿骨外顆に広範囲軟骨欠損および軟骨下骨の露出を認める。

  • (d) 再建された前十字靭帯。(e) 大腿骨滑車部に自家培養軟骨移植が行われている。(f) 大腿骨外顆部に自家培養軟骨移植が行われている。

  • (g) 術後1年の再鏡視所見。再建靭帯は良好に成熟している。(h) 術後1年の再鏡視所見。大腿骨滑車部の良好な移植軟骨シートの生着を認める。(i) 術後1年の再鏡視所見。大腿骨外顆部の良好な移植軟骨シートの生着を認める。

また、アジア人では内反膝変形(所謂、O脚変形)を伴うことが多く、膝関節内側の軟骨損傷に対しては同時にO脚を矯正する手術(高位脛骨骨切り術)を行います(図7)。これによって、修復された軟骨の再生が促進されます。外傷性軟骨損傷の場合でも修復した軟骨への過度な負担を軽減するために術式の追加が考慮されます。進行した変形性膝関節症であっても関節内軟骨修復が期待できます(図8)

  • 図7. 高位脛骨骨切り術.
    (a) 術前レントゲン写真.内側関節裂隙の狭小化が認められる。(b) 内側開大型高位脛骨骨切り術が施行されている。開大部には将来的に骨置換される人工骨が移植され、チタン製のプレートで固定されている。(c) 骨癒合後、プレートが抜去されている。内側関節裂隙が開大している。

  • 図8. 変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術および関節内軟骨修復.
    (a) 大腿骨滑車部の軟骨損傷。(b) 大腿骨内顆部の広範囲軟骨欠損。(c) 相対する脛骨内側顆にも広範囲軟骨欠損。

  • (d) 術後1年で大腿骨滑車部に移植された骨軟骨柱が良好に生着。(e) 術前に軟骨下骨が露出していた大腿骨内顆は骨軟骨柱移植および骨髄刺激法(ドリリング法)などにより術後1年で軟骨が修復されている。(f) 術前に軟骨下骨が露出していた脛骨内顆は骨髄刺激法(マイクロフラクチャー法)により術後1年で軟骨が修復されている。

逆に外反膝変形(所謂、X脚変形)を伴う症例もあり、膝関節外側の軟骨損傷に対しては同時にX脚を矯正する手術(大腿骨遠位矯正骨切り術)を行います。アジア人では、外側半月板の破格である円板状半月の頻度が多く、早期に損傷しやすい半月形態のため、膝関節外側の軟骨損傷を来すことも稀ではありません。(図9)

  • 図9. 大腿骨遠位矯正骨切り術.
    (a) 術前レントゲン.外側関節裂隙の狭小化を認める。(b) 左下肢外反膝変形を認める。(c) 大腿骨遠位矯正骨切り術後。チタン製プレートにて固定されている。(d) 下肢全体の変形が矯正されている。

関節軟骨修復に加え、これらの矯正骨切りや靭帯再建を同時に行う事で臨床成績が向上しています。

軟骨修復術後の再鏡視所見は

多くの方に術後1年が経過したところで、再度関節内を内視鏡でチェックをおすすめしています。骨切りや靭帯再建などで使用した金属を同時に取り除くことも同時に出来ることや、最終的な関節内のクリーニングなどを行います。軟骨が欠損していた部分にきれいに修復された軟骨が観察できます。

当院の膝関節軟骨損傷に対する治療の特徴

鴨川市の亀田総合病院において手術が行われます。術前の筋力評価を行い、術後経過での筋力回復、活動性の回復を図ります。入院中は、理学療法士による十分なリハビリテーションを行うのは勿論、トレーナーによりアスレティック・リハビリテーションを追加して行っていただきます。手術した下肢のみならず、体幹も含め筋力強化を行います。退院時には、関節軟骨損傷の原因である体重増加や筋力低下が改善されつつあることを実感していただけます。術後も定期的な筋力チェックをおすすめしています。術後は、亀田クリニック(鴨川市)および亀田京橋クリニックでフォローさせていただきます。

若年者はもちろん中高年の方でも活動性の高い方にお勧めしています。術後のスポーツ復帰への支援を行います。

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